2014年4月30日水曜日

学問としての税法

一昨日は東京税理士会で、中央大学教授酒井克彦先生の教授就任記念講演会に出席してきました。1時間半の短い時間ですが、現在まさに係争中の3例の税務訴訟事例を取り上げて、争点と酒井先生の見解をみっちりと(超早口で)お話いただき、とても刺激的な講演会でした。

今回出席のお誘いをいただいたのは、昨年東京税理士会主催の3ヶ月間にわたる集中研修を修了した縁でした。この集中研修も当初は独立前の勤務と並行していたのでハードでしたが、土曜日をつぶして通った甲斐があったな~思える実り多いものでした。

というのも、税理士の仕事の基本となる税法(法人税法、所得税法などなど)ですが、私の場合は税理士試験の試験勉強と、実務での実践に則した勉強をしてきました。一方で、学問としての「租税法」という分野にはあまり縁が持てていませんでした。

集中研修では、税法だけではなく憲法や民法などの周辺法の講義も含めて、法律の成り立ちや原則となり考え方を身につけられて、また他の税理士の方とディスカッションする機会が多かったことも、私にとっては新鮮な経験でした。

租税法の考え方自体は、お客様に直接伝えるというものではないですが、条文の読み方や今回の講演会のような税務訴訟の考え方の理解にとても役立っていると感じます。

2014年4月4日金曜日

消費税転嫁対策のポイント

4月1日になって、中小企業庁から『消費税の手引き』という冊子が届きました。経営革新等支援機関向けに送られているようです。今頃?とも思いながらパラパラ見てみると、今回の消費増税に合わせて施行された「消費税転嫁対策特別措置法」に関する情報が中心のようです。

中小企業庁のサイトにもPDFがアップされていました。
中小企業・小規模事業者のための消費税の手引き

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BtoB(企業間取引)、BtoC(一般消費者との取引)の二種類のケースに大別して説明がされています。

BtoBでは、特定事業者(買い手)と、継続的に取り引きをしている特定供給事業者(売り手)の間で消費税分の減額、買いたたき、商品購入要請などの転嫁拒否を禁止していること。そしてその対策として、転嫁対策調査官、いわゆる「転嫁Gメン」が配置され、行政機関による検査・指導が行われることについてのアナウンスです。
相談窓口は公正取引委員会のサイトなどにも掲載されています。が、実際に相談することで問題が解決するものかどうか…、どうにか実効性のある対策が行われることを期待したいです。

BtoCでは、
・消費税還元セールの禁止
消費税は消費者が負担している税金です。たとえ事業者が税込み価格を変更せずに「消費税分はいただきません」と銘打っていても、実際は値下げした本体価格+消費税8%を負担しているということになります。消費税は必ず消費者が負担するものであり、「消費税を転嫁しないことも可能なのか?」と誤解させる表示はやめましょう、という趣旨です。
具体的には、「消費税サービス」「消費税分キャッシュバック」といった売り文句がNG、「8%値引き」「3%ポイント還元」は消費税率(または増税分の税率)と一致していてもOKとなります。

・総額表示義務の特例
平成16年以来義務付けられていた総額表示の条件が、二度の増税を経た平成29年3月31日までの期間限定で緩和されるため、具体的な表示の方法が説明されています。

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今日、実際に街へ出てみると、『8%セール』を掲げている小売店もちらほらと。ただし、NGワードの『消費税』は使われていません。某うどんチェーン店は『8%増麺』だそうです。お得感ありますね。

2014年4月1日火曜日

26年4月1日から変わる税制

年度替わり、好天の4月1日です。娘は今日から保育園の幼児クラスに進級し、張り切って出かけていきました。税制にも今日を境に変化するポイントがいくつかあります。

・消費税
なんといっても今年一番のトピックス。3月最後の週末は駆け込み需要でどこも大変な人出でした。平成26年4月1日から平成27年9月30日まで、消費税率は8%(国税6.3%+地方1.7%)となりました。

・印紙税
収入印紙の貼付が必要な現金の領収書が、これまでの3万円以上から5万円以上に改正されました。特に小売、飲食等店舗業者にとっては印紙代の負担が若干軽減されそうです。

・法人税(平成26年4月1日以降開始事業年度に適用)
復興特別法人税が一年前倒しで廃止されました。
設備投資関係では、「生産性向上設備投資促進税制」が導入、「中小企業投資促進税制」 が拡充されます。
人材投資関係では、「所得拡大促進税制」が拡充されます。
(※リンクをクリックするとPDFファイルが開きます)

カネダ会計事務所では先月からお客様向けにニュースレターの発行を開始しました。これらの改正情報はニュースレターでも随時配信していく予定です。